教育者として

現在フライブルグ音楽大学ピアノ専攻科にて国際色豊かなクラスを指導し、ピアノ科副主任、教育学部ピアノ科委員を兼任しています。

学生時代よりピアノ教育に興味を持ち、子供から年配の方まで幅広く教え続けてきました。その中からはドイツ青少年コンクール全国大会の優勝者、又音大生では国際コンクールの入賞者も輩出しています。
 1 位:Bundespreis Solo-Klavier bei Jugendmusiziert/ Germany
 2 位:Vienna International Piano Competition/ Wien, Austria
3位:”Gianluca Campochiaro”  International Competition / Italien
1位:"Luigi Zaccoli" International Chambermusic Kompetition/ Italien

またバイロイト音楽アカデミーのピアノ科講師を10年勤め、現在はフライブルグ音楽大学ピアノ科専任講師として後進の育成に尽力しています。

2000年より横浜を中心に音高、音大生、受験生、卒業生、留学希望者、また内外コンクールの準備を対象に、独奏、室内楽のマスターコースを定期的に開催しています。
受講者のモチベーションを高め、その能力と個性を最大限に引き出すべく、ドイツでの豊富な音楽経験を生かしたユニークで且つ包括的なアプローチを展開します。

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*2016年からフランス、コルマーでの国際サマーアカデミー”Festival Musicalta" に講師として招聘されています。

*2017年から定期的にライン川畔のSt.Goarにてマスタークラスを開催。
 2019年は8月17日から8/24日まで。http://www.sg-imfa.com

*2019年11月30日には 東京 ”And Vision"にて公開レッスンを開催予定。

*2020年はフランス、ナンシーでのサマーコース(7月29日から8月8日)に
 招聘されています。

〜 彼女は豊かな感情移入能力で学生を音楽の芸術目標へと徹底し且つ明快に導いてゆく。そして各学生の成長過程を的確に洞察しつつ見事な教授手腕を発揮する。〜
(アンネカトリン・クライン、フライブルグ音楽大学ピアノ科元主任教授)

 

Konsequenz und Einfühlungsvermögen, künstlerische Ziele und klare Führung verbinden sich auf glückliche Art mit dem Gespür für die individuelle Entwicklung der Studierenden und mit methodischem Geschick.

– Prof. Annekatrin Klein (ehem.Fachgruppensprecherin an der Hochschule für Musik  Freiburg i. Brg.)

夏期講習 Sankt Goar

指導方針

始めに言葉ありき:

ピアノ演奏を学ぶことは音楽をまず言葉として理解することから始まります。譜面をただ表面的に正確に鍵盤に移してもそれは意味のない言葉の羅列にすぎません。
旋律を支えている和声とその韻律を聴き取り、全体の構成と部分との関連を的確に把握すること、読譜力とは読解力に他なりません。作曲者の各言語/意味を理解し、その本質を探求し表現に導くことから独自の解釈ー創造が生まれて来るのです。

音楽表現と演奏技術は表裏一体:

読み取り、理解し、イメージした音楽を自由に表現するためには楽器と全身とが自然に融合していることが必要です。しかしピアニストは声楽、弦 、管楽器と違って楽器を身体の動きに伴って動かすことはできません。さらに音を実際に鳴らしている部分(弦とハンマー)と響いている楽器本体(共鳴体)に直接触れてすらいません。この点を認識していないと譜面上の音の多さ、コーディネーションの複雑さに囚われ、つい鍵盤と格闘してしまいがちです。
不自然で固い動きは音/音楽の伸びやかさを撓めてしまいます。

~良いピアノ演奏は、楽器の抵抗を力で征服しようとするのではなく自分の内部の抵抗を解除することで初めて得られる ~
                                    (ハラルド・テイラー、フェルデンクライス法指導者)


腰から指先までひと繋がりのボディーマッピング、緊張と解放の原理、呼吸法を体得する事で柔軟で鋭敏なタッチ、そして第3の手とも言えるペダルも自在にコントロールできるようになるでしょう。鍵盤に触れる前に音をイメージし、そのフィードバックと自分自身に絶えず耳を傾けることで音楽と身体の動きは一致したものとなっていきます。感情の自由な発露が音楽表現に自然に結びつくためには全てが統合され、単純明快にならねばなりません。
このように自己の感性と技術を徹底して磨く事により、テクニックは駆使する事を超え、演奏者はピアノと一体となりつつ、音楽の透明度と深みは増していきます。これこそが演奏の最高の愉しみと言えるでしょう!

真の音楽家としてのピアニスト:

意味のない反復練習を避け、目的への集中した練習法を学ぶ事はどの楽器奏者にも共通した課題です。
ピアノはひとつのレギスターでオーケストラに匹敵するほどの豊かな音響世界を生み出せる唯一の楽器です。レパートリーの広さ多様さも群を抜いています。またピアノの音そのものは中性的である事からどの楽器、声をも暗示、連想させる事が可能です。この特性を充分に活かすためには各作曲家のあらゆるジャンル(交響曲、器楽曲、オペラ、歌曲等)を聴くことで耳を肥やし、音楽的視野を広げ、様式、音響への洗練された感性を養う事が必要です。
他の楽器からのみでなく歌と指揮からもピアノとの関連を多く学び取ることができます。
また室内楽、歌曲伴奏において対話能力、バランス感覚、多彩な音色への想像力を培うことで、共演の醍醐味は尽きぬものとなるでしょう。

 

 

 

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